目次
- Gmailにメールが届かなくなる問題とは
- なぜGmailにメールが届かなくなったのか
- WP Mail SMTPプラグインの導入と設定方法
- よくある質問と回答
1. Gmailにメールが届かなくなる問題とは
2023年4月頃から、WordPressのお問い合わせフォームやメール配信システムから送信したメールが、Gmail宛に届かないという現象が発生しています。特に以下のケースでトラブルが報告されています:
- 会社のメールアドレスからGmail宛にメールを送っても届かない
- WordPress(Contact Form 7など)の自動返信メールがGmail宛に届かない
- WordPressから配信したメルマガがGmail宛に届かない
この問題はさらに深刻化し、2024年6月1日からはGoogle「メール送信者のガイドライン」が完全適用となり、対応していないメールは迷惑メールフォルダに振り分けられるだけでなく、完全にブロックされる可能性があります。
2. なぜGmailにメールが届かなくなったのか
送信元の「なりすまし」と判断される問題
Googleは「なりすましメール」を排除するためにセキュリティを強化しました。これにより、以下の条件に該当するメールは「偽装メール」と判断され、受信拒否されるようになりました:
- 送信元メールアドレスとSMTPサーバーの不一致: 例えば、「info@company.com」というメールアドレスを使用していても、実際の送信サーバー情報が一致しない場合
- ドメイン認証の不備: SPFレコードなどのドメイン認証設定が不十分な場合
- WordPressからの自動送信メール: WordPressのPHPメール機能を使用すると、サーバー情報とドメインの不一致が発生しやすい
特にWordPressサイトでは、サイトのドメイン(例:website.jp)と使用しているメールアドレスのドメイン(例:company.com)が異なる場合、この問題が発生しやすくなります。
Googleメール送信者ガイドラインの段階的適用
Googleは2023年10月に「メール送信者のガイドライン」を更新し、2024年2月1日から段階的に適用を開始、6月1日に完全適用となります。調査によると対応済みの企業は2割に満たない状況で、多くの企業がメール到達性の低下リスクを抱えています。
3. WP Mail SMTPプラグインの導入と設定方法
WordPress環境でGmail宛のメール送信問題を解決するには、「WP Mail SMTP」プラグインを導入することが最も効果的です。このプラグインは、WordPressから送信するすべてのメールを指定したSMTPサーバー経由で送信するように設定できます。
プラグインのインストール方法
- WordPress管理画面から「プラグイン」>「新規追加」を選択
- 検索欄に「WP Mail SMTP」と入力
- 「今すぐインストール」をクリック
- 「有効化」をクリック
プラグインの設定方法
-
WordPress管理画面の「設定」>「WP Mail SMTP」に移動
-
「メール」タブで以下を設定:
- From Email: 送信元メールアドレス(例:info@company.com)
- From Name: 送信者名(会社名や担当者名)
- メーラー: 「WordPressの全てのメールをSMTP経由で送信する」を選択
- Return Path: 「Set the return-path to match the From Email」にチェック
-
「SMTP」タブで以下を設定:
- SMTP ホスト: メールサーバーのホスト名(レンタルサーバー会社から提供される情報)
- SMTP ポート: 通常は「465」(SSL使用時)、または「587」(TLS使用時)
- 暗号化: 「SSLを使用する」、または「TLSを使用する」を選択
- 認証: 「ON: SMTP認証を使用します」を選択
- SMTP Username: メールアカウント(通常は@より左側の部分)
- SMTP Password: メールアカウントのパスワード
-
設定完了後、「Email Test」タブからテストメールを送信して動作確認
必要な情報の取得方法
WP Mail SMTPを設定するには、以下の情報が必要です。これらはメールサーバー提供元(レンタルサーバー会社)に問い合わせて取得できます:
- メールアドレス: 送信元として使用するメールアドレス
- SMTP メールサーバー名: 送信用サーバーのアドレス
- ポート番号: 通常は465(SSL)、または587(TLS)
- メールアカウント: 多くの場合、メールアドレスの@より左側の部分
- メールパスワード: メールアカウントのパスワード
問い合わせ例:
Gmail宛のメール送信に不具合が出ていますので、「WP Mail SMTP」プラグインを導入したいと考えております。
以下のメールアドレスについて、SMTP設定に必要な情報をご教示ください。
【対象メールアドレス】
info@company.com
【確認事項】
1) SMTP メールサーバー名(ポート番号も含む)
2) メールアカウント
3) メールパスワード
主要サーバー別SMTP設定例
Xサーバーの場合
- SMTP Host: sv***.xserver.jp(サーバーパネルのサーバー情報に記載)
- SMTP Port: 465
- Encryption: SSL
- Username: メールアドレス全体(例:info@company.com)
- Password: メールアカウント設定時のパスワード
Google Apps(Gmail)の場合
- SMTP Host: smtp.gmail.com
- SMTP Port: 465
- Encryption: SSL
- Authentication: ON
- Username: Gmailのメールアドレス
- Password: アプリパスワード(Googleアカウントのセキュリティ設定から取得)
4. よくある質問と回答
Q: なぜWordPressサイトとは異なるドメインのメールアドレスを使いたいのですが?
A: セキュリティ上の理由や、既存の会社メールアドレスを継続利用したい場合は多いです。WP Mail SMTPプラグインを使えば、サイトドメインと異なるメールアドレスでも問題なく送信できます。
Q: このプラグインを導入すれば確実にGmailに届きますか?
A: 適切に設定すれば届く確率は大幅に向上しますが、メールの内容や送信頻度などによって迷惑メール判定されるケースもあります。テスト送信で確認することをお勧めします。
Q: SPFレコードとは何ですか?設定も必要ですか?
A: SPF(Sender Policy Framework)レコードは、特定のドメインからメールを送信できるサーバーを指定するDNSレコードです。WP Mail SMTPと併用することで、より確実にメール配信ができます。SPFレコードの設定はドメイン管理会社で行います。
Q: Contact Form 7以外のフォームプラグインでも同様の設定が必要ですか?
A: はい、Gravity Forms、WPFormsなど他のフォームプラグインでも同様に設定が必要です。WP Mail SMTPはWordPressから送信されるすべてのメールに適用されます。
Gmail向けのメール配信は今後もセキュリティが強化される傾向にあります。WP Mail SMTPプラグインを導入し、適切なSMTP設定を行うことで、自動返信メールやお問い合わせフォームの応答メールがきちんと届くようになり、顧客とのコミュニケーション機会の損失を防ぐことができます。