AIコーディングツールが急速に進化する中、多くの開発者が「Claude Code一強」と考えがちです。しかし、実はGemini CLIとClaude Codeを戦略的に併用することで、開発効率とコード品質を劇的に向上させることができます。
本記事では、両ツールの特性を活かした「開発フロー」についてお伝えします。
Vibe Codingのワークフロー 準備編2.2 - Vibe Logger を活用したAI駆動開発のデバッグ環境整備 -
1. Gemini CLIとClaude Code:それぞれの強みを知る
比較表:得意・不得意の全体像
| 比較項目 | Gemini CLI | Claude Code |
|---|---|---|
| Web検索・調査 | ◎ Google検索統合で高精度 | △ 検索機能はあるが精度は劣る |
| コンテキスト長 | ◎ 100万トークン | ○ 20万トークン |
| 処理速度 | ◎ 高速レスポンス | ○ やや遅いが安定 |
| 無料利用 | ◎ 1日1000リクエスト無料 | × 有料サブスクリプション必須 |
| 複雑な実装 | △ 無限ループに陥りやすい | ◎ 適切に処理、代替案を提案 |
| 計画力・実装力 | △ 実装が雑になりがち | ◎ 高品質で一貫性のある実装 |
| Git連携 | △ 基本操作のみ | ◎ PR作成、コンフリクト解決まで対応 |
Gemini CLIに任せるべき作業
-
技術調査・情報収集
- 最新のフレームワーク比較
- ベストプラクティスの調査
- 類似プロジェクトの事例収集
-
要件の整理・ブレインストーミング
- ユーザーストーリーの洗い出し
- 機能要件の網羅的なリストアップ
- 技術的制約の調査
-
初期設計案の作成
- アーキテクチャパターンの提案
- 技術スタックの選定理由
- パフォーマンス要件の業界標準調査
Gemini CLIを使うメリット
- トークン節約: 無料枠1日1000リクエストで調査フェーズをカバー
- 最新情報へのアクセス: Google検索による最新のトレンド把握
- 多角的な視点: 複数の解決策を比較検討できる
- Claude Codeの利用制限回避: 調査はGeminiに任せ、Claude Codeは実装に集中
2. Gemini CLIのインストールと初期設定
インストール手順
# 1. Node.js 20以上が必要(確認)
node --version
# Node.jsが古い場合はnvmでアップデート
curl -o- https://raw.githubusercontent.com/nvm-sh/nvm/v0.39.0/install.sh | bash
source ~/.zshrc
nvm install 20
nvm use 20
# 2. Gemini CLIをインストール
npm install -g @google/gemini-cli
# 3. 初回起動と認証
gemini
# → テーマ選択
# → Googleアカウントでログイン(無料枠利用可)
トラブルシューティング
権限エラーが出る場合:
# npmのプレフィックスを変更
mkdir ~/.npm-global
npm config set prefix '~/.npm-global'
echo 'export PATH=~/.npm-global/bin:$PATH' >> ~/.zshrc
source ~/.zshrc
# 再度インストール
npm install -g @google/gemini-cli
3. 効果的な設計書体系:10個の最適解
試行錯誤の結果、8〜12個程度の設計ドキュメントが最適であることがわかりました。
必須ドキュメント構成
docs/
├── 01_requirements.md # 要件定義書
├── 02_architecture.md # システム設計書
├── 03_debugging.md # デバッグ・動作確認方針
├── 04_database.md # データベース設計書(必要な場合)
├── 05_api.md # API設計書
├── 06_errors.md # エラーハンドリング設計
├── 07_testing.md # テスト戦略策定
├── 08_setup.md # 開発環境セットアップ
├── 09_design.md # デザインシステム定義(必要な場合)
└── 10_tasks.md # 開発タスク・ロードマップ
CLAUDE.md # 統括ファイル(プロジェクトルート)
なぜこの構成が効果的なのか
- コンテキスト制限内で管理可能: Claude Codeの20万トークン制限内
- 必要十分な情報をカバー: 開発で必要な全領域を網羅
- 段階的な参照が可能: タスクに応じて必要な文書のみ参照
- メンテナンスが現実的: 多すぎず少なすぎない
4. 設計書作成のワークフロー
Step 1: Gemini CLIで基礎調査(1〜3番)
プロンプト例:
gemini
Reactで作るTodoアプリの要件定義書を作成してください。
以下の観点を含めてください:
- 類似サービスの調査とベストプラクティス
- 必要な機能の網羅的なリスト
- 技術的な制約と前提条件
- パフォーマンス要件の業界標準
ファイル名: docs/01_requirements.md
アーキテクチャ設計の調査・作成:
先ほどの要件定義を元に、アーキテクチャ設計書を作成してください。
以下を調査して含めてください:
- DDDとClean Architectureのどちらが適切か
- マイクロサービス vs モノリスの判断
- 使用すべきデザインパターン
ファイル名: docs/02_architecture.md
デバッグ・動作確認方針の調査・作成:
@docs/01_requirements.md と @docs/02_architecture.md を読んで、
デバッグ・動作確認方針書を作成してください。
以下を調査して含めてください:
- AIがよく書く危険パターン
- セキュリティ危険APIの安易な使用
- SQLインジェクション・パス操作
ファイル名: docs/03_debugging.md
Step 2: Claude Codeで詳細設計(4〜10番)
プロンプト例:
claude
@docs/01_requirements.md と @docs/02_architecture.md と @docs/03_debugging.md を読んで、
以下の詳細設計書を作成してください:
- 04_database.md # データベース設計書(必要な場合)
- 05_api.md # API設計書
- 06_errors.md # エラーハンドリング設計
- 07_testing.md # テスト戦略策定
- 08_setup.md # 開発環境セットアップ
- 09_design.md # デザインシステム定義(必要な場合)
- 10_tasks.md # 開発タスク・ロードマップ
各ファイルはdocs/フォルダに作成してください。
5. よくある質問と回答
Q: なぜ/initコマンドを使わないのか?
/initは汎用的なテンプレートを生成しますが、設計書ベースからCLAUDE.mdを作成した方がプロジェクト固有の情報が豊富で、開発効率が格段に向上します。
Vibe Codingのワークフロー 準備編3 - CLAUDE.mdの作成とClaude Code最適化設定
Q: Gemini CLIが遅い/エラーが出る
- 複雑な実装はClaude Codeに任せる
- 調査・設計フェーズに特化して使う
- エラーループに入ったら、より具体的な指示を出す
まとめ:
Gemini CLIとClaude Codeは競合ではなく、補完関係にあります。
- Gemini CLI: 調査員・情報収集のスペシャリスト
- Claude Code: 実装者・品質管理のプロフェッショナル
この役割分担により、それぞれの強みを最大限活かした開発が可能になります。
Vibe Codingのワークフロー 準備編3 - CLAUDE.mdの作成とClaude Code最適化設定

