WordPress プラグイン開発において、公式ドキュメントの参照とサイト操作を効率化するModel Context Protocol(MCP)サーバーの導入方法と活用法について解説します。

MCPサーバーとは

Model Context Protocol(MCP)は、AIアシスタントと外部システムを接続するための標準化されたプロトコルです。これにより、Claude DesktopやCursor などのAIツールから、WordPressサイトを直接操作したり、開発ドキュメントにアクセスしたりすることが可能になります。

2つのMCPサーバーの役割

1. WordPress Handbook MCPサーバー(情報参照用)

デジタルキューブが提供するこのサーバーは、WordPress公式ドキュメントへのアクセスを提供します。

アクセス可能なハンドブック:

  • Plugin Handbook(プラグイン開発)
  • Theme Handbook(テーマ開発)
  • REST API Handbook
  • Block Editor Handbook
  • Common APIs Handbook
  • Coding Standards Handbook
  • Advanced Administration Handbook

主な用途:

  • コーディング規約の確認
  • API仕様の参照
  • セキュリティベストプラクティスの確認
  • 実装方法の調査

2. WordPress MCPサーバー(サイト操作用)

実際のWordPressサイトを操作するためのサーバーです。REST APIを通じて以下の操作が可能です。

実行可能な操作:

  • 投稿・固定ページの作成、編集、削除
  • メディアファイルのアップロード・管理
  • ユーザー管理
  • カテゴリー・タグの管理
  • コメント管理

導入手順

前提条件

  • Node.js v20以上(推奨:v22)
  • Claude Desktop または対応するMCPクライアント
  • WordPress 管理者権限

WordPress Handbook MCPサーバーの設定

Claude Desktopの設定ファイル(claude_desktop_config.json)に以下を追加:

Mac:

~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json

Windows:

%APPDATA%Claudeclaude_desktop_config.json
{
  "mcpServers": {
    "wordpress-handbook": {
      "command": "npx",
      "args": [
        "mcp-remote",
        "https://mcp.digitalcu.be/sse"
      ]
    }
  }
}

WordPress MCPサーバーの設定

ステップ1: アプリケーションパスワードの生成

  1. WordPress管理画面 → ユーザー → プロフィール
  2. 「アプリケーションパスワード」セクション
  3. アプリケーション名を入力(例:wordpress-mcp)
  4. 「新しいアプリケーションパスワードを追加」をクリック
  5. 生成されたパスワードをコピー

ステップ2: MCPサーバーのセットアップ

prathammanocha/wordpress-mcp-serverを使用する方法:

# リポジトリをクローン
git clone https://github.com/prathammanocha/wordpress-mcp-server.git
cd wordpress-mcp-server

# 依存関係をインストール
npm install

# ビルド
npm run build

ステップ3: Claude Desktop設定に追加

{
  "mcpServers": {
    "wordpress-mcp": {
      "command": "node",
      "args": ["/Users/[ユーザー名]/wordpress-mcp-server/build/index.js"],
      "env": {
        "siteUrl": "https://your-wordpress-site.com",
        "username": "username",
        "password": "application-password"
      }
    }
  }
}

トラブルシューティング

REST APIが有効になっていない場合

  1. パーマリンク設定を「基本」以外に変更
  2. .htaccessに適切なリライトルールが設定されているか確認

Node.jsバージョンエラー

nvmを使用している場合:

nvm install 22
nvm use 22
nvm alias default 22

接続エラーが発生する場合

  • HTTPSを使用していることを確認
  • アプリケーションパスワードが正しくコピーされているか確認

活用例

Plugin Checkエラーの修正

「Plugin Checkで出ているエラーを確認して、WordPressのコーディング規約に従った修正方法を提案してください」

投稿の一括更新

「カテゴリー'お知らせ'の全投稿のメタディスクリプションを更新してください」

開発ドキュメントの参照

「WordPressでnonce認証を実装する正しい方法を教えてください」

導入のメリット

  1. 開発効率の向上: ドキュメント検索と実装を並行して進められる
  2. エラーの削減: コーディング規約に準拠したコードの生成
  3. 学習曲線の短縮: 必要な情報への即座のアクセス
  4. 自動化: 繰り返し作業の自動化

セキュリティ上の注意

  • アプリケーションパスワードは安全に管理する
  • 本番環境での使用は慎重に検討する
  • 定期的にパスワードを更新する
  • 必要最小限の権限を付与する

まとめ

WordPress MCPサーバーの導入により、プラグイン開発における情報収集と実装作業が大幅に効率化されます。特に、WordPress Handbook MCPで正しい実装方法を確認しながら、WordPress MCPで実際のサイトを操作するワークフローは、開発品質と速度の両面で大きなメリットをもたらします。

初期設定には若干の手間がかかりますが、一度設定すれば継続的に開発効率を向上させることができます。

Google MCPサーバーを使って、Claudeデスクトップに効果的なGA4分析・改善案を出してもらう始め方 Google Analytics MCP Serverを使えば、Claude(AI)に「先月どうだった?」と聞くだけで、プロ級の分析レポートが手に入ります。しかも完全無料で。この記事では、技術的な知識がなくても、30分でAIによるGA4分析を始められる方法を、...  続きを読む