クライアント向けの操作マニュアル、作るの面倒ですよね。

スクリーンショットを撮って、トリミングして、説明文を書いて、PDF化して...。
1つのマニュアルに数時間かかることも珍しくありません。

この記事では、画面録画 → Gemini → Claude Code を組み合わせて、PDFマニュアル字幕付きの解説動画を一度に作るワークフローを紹介します。

このワークフローで作れるもの:

  • 画像付きPDFマニュアル(Markdown → PDF変換)
  • 字幕オーバーレイ動画(Remotion → ProRes 4444 透過動画)

こんなケースに有効です:

  • クライアント向けの操作マニュアル
  • 社内向けのシステム操作手順書
  • SaaSツールの使い方ガイド
  • WordPressサイトの管理者向けマニュアル

    ワークフローの全体像

    全8ステップで構成されています。ポイントはcontent.ts(タイムスタンプデータ)を中心に据えることで、PDFマニュアルと字幕動画の両方を同じデータソースから生成できる点です。

    / ツール 作業内容 成果物
    1 - session-context.md の作成 案件の背景情報
    2 QuickTime / OBS + Premiere 画面録画 → 簡易編集 recording.mp4
    3 Premiere 主だった部分の静止画書き出し スクリーンショット
    4 Claude Code 下書き(構成ガイド)の作成 draft.md
    5 Gemini タイムスタンプデータの作成 content.ts
    6 Claude Code PDFマニュアルの生成 manual.md
    7 VS Code PDF変換 manual.pdf
    8 Claude Code + Remotion 字幕オーバーレイの生成 caption.mov

    必要なもの

    項目 説明
    Claude Code Anthropicのコマンドラインツール
    Gemini Googleの動画解析AI(gemini.google.com)
    画面録画ツール QuickTime Player(Mac)/ OBS Studio(Windows)
    Premiere Pro(任意) 動画の簡易編集・静止画書き出し
    Remotion(任意) 字幕動画が必要な場合のみ

    プロジェクト構成

    manual-project/
    ├─ CLAUDE.md                    # Claude Codeへの指示書
    ├─ docs/
    │   └─ session-context.md      # 案件の背景・文脈
    ├─ screenshots/                 # Premiereから書き出した静止画
    ├─ drafts/                      # 下書き(構成ガイド)
    │   ├─ draft-XXXX.md
    │   └─ draft-YYYY.md
    ├─ src/
    │   ├─ content-XXXX.ts        # Geminiが生成したタイムスタンプ
    │   └─ content-YYYY.ts
    ├─ output/                      # 完成したマニュアル
    │   ├─ manual-XXXX.md
    │   └─ manual-XXXX.pdf
    ├─ public/
    │   └─ video/
    │       └─ recording-XXXX.mp4  # 画面録画
    └─ .claude/
        └─ commands/
            └─ proofread.md         # 校正用カスタムコマンド
    

    Step 1:session-context.md の作成

    Claude Codeは会話の文脈を知らないため、案件の背景を説明するドキュメントが必要です。

    # セッション・コンテキスト
    
    ## 案件概要
    - クライアント: 株式会社〇〇
    - サイト: https://example.com
    - 目的: 社員専用サイトの操作マニュアル作成(管理者向け)
    - 対象読者: PC操作に慣れていない担当者
    
    ## アカウント構成
    | 種別 | 役割 |
    |------|------|
    | 管理者 | メンバー管理・記事投稿を行う担当者 |
    | 一般ユーザー | 閲覧専用アカウント |
    
    ## 作成するマニュアル一覧
    | ファイル名 | 内容 |
    |-----------|------|
    | draft-XXXX.md | ログイン方法 → 記事の閲覧 |
    | draft-YYYY.md | 管理者ログイン → 記事の投稿 |
    

    案件固有の情報(クライアント名、サイトURL、アカウント構成など)を記載することで、Claude Codeが適切な説明文を生成できます。


    Step 2:画面録画 → 簡易編集

    録画

    操作手順を画面録画します。

    • MacなQuickTime Player(標準搭載)
    • WindowsなOBS Studio(無料)

    5分以内に収めるのがポイントです。Geminiの無料枠では長すぎる動画を処理できない場合があります。複雑な操作は複数の動画に分割しましょう。

    簡易編集(Premiere Pro)

    録画した動画をPremiere Proで開き、不要な部分(待ち時間、誤操作など)を削除します。
    適切に編集する必要はありません。ざっくり不要部分をカットするだけでOKです。


    Step 3:Premiereから静止画を書き出し

    Premiere Proのタイムライン上で、操作の主だったポイントのフレームを静止画として書き出します。

    ファイル名の規則:

    screenshot-XXXX.00_00_06_25.002.jpg
    screenshot-YYYY.00_00_25_48.004.jpg
    
    • [操作名].[時_分_秒_フレーム].[連番] の形式にすると、Claude Codeが操作の順序を把握しやすくなります。
    • 日本語が入ると Remotion でエラーが出るので、日本語は削除します。

    なぜ静止画が必要か?

    次のステップでClaude Codeに下書き(構成ガイド)を作ってもらう際、スクリーンショットを渡すことで「どの画面で何の操作をしているか」を正確に理解してもらえます。


    Step 4:Claude Codeで下書き(構成ガイド)の作成

    Claude Codeにスクリーンショットを読み込ませて、マニュアルの構成ガイドを作成します。

    #新しいセッション開始
    claude --enable-auto-mode            # オートモードで起動
    
    ## 作成するマニュアル一覧
    
    | ファイル名 | 内容 |
    |-----------|------|
    | draft-login.md | ログイン方法 → 記事の閲覧 |
    
    スクリーンショットを確認して、ログイン操作の下書き `draft-login.md` を作成してください。
    

    下書きの役割は「Geminiへの入力」です。最終的なマニュアルの文章は content.ts から生成するので、下書きは構成(ステップの順序と概要)だけで十分です。

    # ログイン方法・記事の閲覧
    
    ## ステップ1:サイトにアクセスする
    ## ステップ2:ユーザー名とパスワードを入力する
    ## ステップ3:掲示板の一覧を確認する
    ## ステップ4:記事を開く
    

    なぜ下書きを先に作るのか?

    Geminiに動画を渡していきなりタイムスタンプを生成させると、説明を省略したり、ステップを飛ばしたりすることがあります。下書き(構成ガイド)を一緒に渡すことで、「このステップは省略しないで」と指示できます。


    Step 5:Geminiでタイムスタンプ(content.ts)の作成

    Gemini(gemini.google.com)に動画と下書きをアップロードし、タイムスタンプデータを生成させます。

    Google AI Studioではなく通常のGeminiを使う
    最初はGoogle AI Studio(aistudio.google.com)を試しましたが、動画アップロード時に「Token count failed」エラーが発生しました。
    通常のGemini(gemini.google.com)の方が動画アップロードの制限が緩いため、こちらを使用します。

    プロンプト例

    この動画は「ログイン方法・記事の閲覧」の操作手順です。
    draft-XXXX.md の構成に沿って、字幕のタイムスタンプデータを作成してください。
    
    ## 出力形式
    TypeScript の配列として出力してください。Markdown は不要です。
    
    import type { Caption, ManualVideoConfig } from "./types";
    
    export const VIDEO_CONFIG_LOGIN: ManualVideoConfig = {
      fps: 30,
      width: 3840,          // 動画の解像度に合わせる
      height: 2160,
      durationSeconds: 41,  // 動画の長さ(秒)
    };
    
    export const CAPTIONS_LOGIN: Caption[] = [
      { id: 1, start: "MM:SS.ff", end: "MM:SS.ff", caption: "字幕テキスト" },
      ...
    ];
    
    ## 制約
    - start/end は "MM:SS.ff" 形式(例: "00:05.00", "01:30.15")
    - caption は日本語40文字以内
    - 配列のみ出力(説明文不要)
    - VIDEO_CONFIG の durationSeconds は動画の実際の長さに合わせる
    

    Geminiの出力をチェックする

    Geminiの出力は必ず目視でチェックしてください。

    よくある問題:

    • タイムスタンプのズレ — 数秒ずれていることがある
    • ステップの省略 — 長い操作の後半を端折る(下書きを渡すことで軽減できる)
    • 用語の誤認 — 画面上のテキストを読み間違える
    • VIDEO_CONFIG の値durationSeconds や解像度が間違っていることがある

    VIDEO_CONFIG のテンプレートをプロンプトに含めておくと、後から追加する手間が省けます。


    Step 6:Claude Codeで PDFマニュアル(manual.md)の 作成

    content.ts からマニュアルを生成します。下書き(draft)からではありません。

    **Step 6:PDFマニュアル(manual.md)の作成**
    
    - @src/content-XXXX.ts         # タイムスタンプ
    
    content-XXXX.ts のタイムスタンプデータと screenshots/ の画像を使って、
    output/manual-XXXX.md を生成してください。
    
    - 各キャプションに対応するスクリーンショットを挿入
    - 「〜してください」「〜します」の丁寧語で統一
    - PC初心者向けの説明
    - ボタン名は 太字 で強調
    

    content.ts を「確定版の構成」として使うことで、字幕(ステップ8)とマニュアルの内容が一致します。

    CLAUDE.md の設定

    CLAUDE.md に出力形式のルールを書いておくと、毎回指示する必要がなくなります。

    # マニュアル自動生成プロジェクト
    
    ## 概要
    content-*.ts のタイムスタンプデータと screenshots/ のスクリーンショットを使用して、
    管理者向け操作マニュアル(Markdown形式)を生成する。
    
    ## 画像選択ルール
    - 1ステップに対して1枚の画像を使用する
    - 「操作前」と「操作後」が伝わる画像を優先する
    - 重要なUIパーツ(ボタン・リンク・入力欄)が写っている画像を選ぶ
    
    ## 出力形式
    - 見出し: ## ステップN:〇〇
    - 画像パス: ../screenshots/ からの相対パス
    - 強調: <strong>太字</strong> でボタン名・重要な用語を強調
    - 注意事項: > ⚠️ 注意:〇〇 の引用ブロック形式
    
    ## トーン・文体
    - 「〜してください」「〜します」で統一
    - 専門用語は使わない
    - PC操作に不慣れな担当者でもわかる丁寧な説明
    
    ## 注意事項
    - 本番パスワードや個人情報はマニュアルに記載しない
    - スクリーンショットに写っているパスワード欄は「●●●●●●」と表記する
    

    Step 7:Markdown → PDF 変換

    VS Codeの拡張機能「Markdown PDF」を使って、MarkdownファイルをPDFに変換します。

    1. VS Codeで output/manual-XXXX.md を開く
    2. コマンドパレット(Ctrl+Shift+P / Cmd+Shift+P)→「Markdown PDF: Export (pdf)」
    3. 同じディレクトリに manual-XXXX.pdf が生成される

    校正(任意)

    Claude Codeのカスタムコマンドで校正を実行できます。

    .claude/commands/proofread.md を用意:

    # /proofread コマンド
    
    ## 修正すべきもの
    1. 明確な誤字・脱字・スペルミス
    2. 助詞の誤用(文意が通じない場合のみ)
    3. 用語の誤り
    4. 画像パスの誤り(存在しないファイル参照)
    
    ## 修正してはいけないもの
    1. Markdown記法のスタイル
    2. 表現上の軽微な問題
    3. 読点の位置
    

    実行:

    /proofread output/manual-XXXX.md
    

    Step 8:Remotionで字幕オーバーレイの生成(任意)

    解説動画に字幕を付けたい場合は、同じ content.ts から Remotion で字幕オーバーレイ(透過動画)を生成できます。

    共通型定義(types.ts)

    // src/types.ts
    export interface Caption {
      id: number;
      start: string;   // "MM:SS.ff"
      end: string;
      caption: string;
    }
    
    export interface ManualVideoConfig {
      fps: number;
      width: number;
      height: number;
      durationSeconds: number;
    }
    

    字幕コンポーネント(Caption.tsx)

    // src/components/Caption.tsx
    import { useCurrentFrame, interpolate, Easing } from "remotion";
    
    export const Caption: React.FC<{
      text: string;
      startFrame: number;
      endFrame: number;
    }> = ({ text, startFrame, endFrame }) => {
      const frame = useCurrentFrame();
    
      const opacity = interpolate(
        frame,
        [startFrame, startFrame + 8, endFrame - 8, endFrame],
        [0, 1, 1, 0],
        { extrapolateLeft: "clamp", extrapolateRight: "clamp" },
      );
    
      const translateY = interpolate(
        frame,
        [startFrame, startFrame + 8],
        [20, 0],
        {
          extrapolateLeft: "clamp",
          extrapolateRight: "clamp",
          easing: Easing.out(Easing.cubic),
        },
      );
    
      if (frame < startFrame || frame > endFrame) return null;
    
      return (
        <div style={{
          position: "absolute",
          bottom: 80,
          left: "50%",
          transform: `translateX(-50%) translateY(${translateY}px)`,
          opacity,
          backgroundColor: "rgba(0, 0, 0, 0.75)",
          color: "#FFFFFF",
          padding: "24px 56px",
          fontFamily: "'Noto Sans JP', sans-serif",
          fontSize: 56,
          fontWeight: 700,
          textAlign: "center",
        }}>
          {text}
        </div>
      );
    };
    

    書き出しコマンド

    npx remotion render CaptionLogin output/caption-XXXX.mov --image-format=png --pixel-format=yuva444p10le --codec=prores --prores-profile=4444 --muted
    

    書き出された .mov ファイルを Premiere Pro のタイムラインで元動画の上に配置するだけで、字幕が合成されます。ProRes 4444 は透過をネイティブで認識するため、特別な設定は不要です。

    # Premiere Pro タイムライン
    ├─ V2: caption-XXXX.mov(字幕オーバーレイ)
    └─ V1: recording-XXXX.mp4(元動画)
    
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    ワークフロー全体のポイント

    content.ts を「単一の情報源」にする

    このワークフローの核心は、content.ts(タイムスタンプデータ)を中心に据えることです。

    draft(構成ガイド)
        ↓ Geminiへの入力
    content.ts(確定データ)
        ├─→ manual.md → PDF(ステップ6-7)
        └─→ caption.mov(ステップ8)
    

    draft から直接 manual.md を作ると、Gemini で修正した内容が反映されません。content.ts を経由することで、マニュアルと字幕の内容が自動的に一致します。

    下書きの役割を絞る

    下書き(draft)は「Geminiへの構成ガイド」に徹します。説明文やスクリーンショットの選定は manual.md 生成時に行えば、重複作業がなくなります。

    Geminiへのプロンプトに VIDEO_CONFIG を含める

    Gemini にタイムスタンプを生成させるとき、VIDEO_CONFIG のテンプレートを含めておくと、後から手動で追加する手間が省けます。解像度や FPS、動画の長さなどの情報はプロンプト時点で指定しておきましょう。


    作成したマニュアルの例

    Shopify商品バリエーション設定マニュアル

    https://gist.github.com/sarap422/a9c63d7ae8fdb4b2ed4731826d67a2c2

    • ページ数:9ページ
    • 画像枚数:7枚
    • 作成時間:約15分

    Shopify商品ページ画像追加マニュアル

    https://gist.github.com/sarap422/bd6fe8c970d02de38a0632cc1a0d59c6

    • ページ数:10ページ
    • 画像枚数:8枚
    • 作成時間:約15分

    まとめ

    画面録画からマニュアルを自動生成するワークフローを紹介しました。

    content.ts を中心に据えることで、PDFマニュアルと字幕動画の両方を同じデータから生成でき、内容の一貫性を保てます。

    一度プロジェクト構成を作っておけば、別の操作マニュアルにもそのまま流用できます。クライアントワークでマニュアル作成に時間を取られている方は、ぜひ試してみてください。


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