前回の記事では、Raspberry Pi 5でNASを構築し、Tailscaleで外出先からもアクセスできる環境を整えました。

Raspberry Pi 5 でNASを自作する方法 - SSD起動+Tailscaleで外出先からもアクセスできる構成を構築 Raspberry Pi 5(8GB)とNVMe SSD 1TBを使って、自宅NASを構築する完全ガイド。Samba設定からTailscaleによる外部アクセスまで、実際のコマンドとスクリーンショット付きで解説。BuffaloNASやpCloudに不満がある方...  続きを読む

今回は、その上に Nextcloud を導入して、複数のMacと外付けSSDをシームレスに同期する手順を紹介します。

「Nextcloudって何?」という方向けの基本解説から、デスクトップクライアントのインストール・同期設定まで、実際の画面を交えてわかりやすく解説します。


Nextcloudとは?何ができるのか

一言で言うと「自分で持てるGoogle Drive」

Nextcloudは、自分のサーバー上に構築できるオープンソースのクラウドストレージです。Google DriveやDropboxと同じように使えますが、データはすべて自分のサーバー(今回はRaspberry Pi)に保存されます。

Nextcloud Web UI — ファイル一覧。NASフォルダが外部ストレージとしてマウントされている

機能NextcloudGoogle DriveDropbox
データの保存場所自分のサーバーGoogleのサーバーDropboxのサーバー
月額料金ゼロ(電気代のみ)2.49ドル〜/月9.99ドル〜/月
容量上限SSDの容量まで自由プランに依存プランに依存
プライバシー多くの自分で管理Googleが管理Dropboxが管理
デスクトップ同期
スマホアプリ

Nextcloudでできること

  • ファイル同期・共有: 複数のPC・Mac・スマホをリアルタイムで同期
  • 写真・動画の自動バックアップ: スマホのカメラロールを自動でNASに保存
  • カレンダー・連絡先: Google Calendarの代わりに使えるカレンダー機能
  • ブラウザからのアクセス: WebブラウザでGoogleドライブ感覚で操作可能
  • 外部ストレージ連携: Sambaで共有しているNASフォルダをNextcloudにマウント

今回の構成:NASフォルダをNextcloudで同期

今回は、Raspberry Pi上のSambaで共有している /mnt/ssd/NAS フォルダを、Nextcloudの「外部ストレージ」としてマウントする構成を取っています。

これにより、会社Mac・自宅Macの両方に接続した外付けSSDの NEXTCLOUD フォルダに、NASの中身が自動同期される環境が完成します。


前提条件

この記事は以下の環境が整っていることを前提にしています。

  • Raspberry Pi 5にNextcloudがインストール済み(http://100.107.79.30:8080 でアクセス可能)
  • TailscaleがRaspberry PiとMacの両方にインストール済み
  • Macに外付けSSD(今回は CT1000P3 または SP PHD A60(NTFS))が接続済み

Raspberry Pi NASの構築手順は前回の記事を参照してください。

Raspberry Pi 5 でNASを自作する方法 - SSD起動+Tailscaleで外出先からもアクセスできる構成を構築 | CODE-PLUS(コードプラス) Raspberry Pi 5(8GB)とNVMe SSD 1TBを使って、自宅NASを構築する完全ガイド。Samba設定からTailscaleによる外部アクセスまで、実際のコマンドとスクリーンショット付きで解説。BuffaloNASやpCloudに不満がある方...  続きを読む

Nextcloudデスクトップクライアントをインストール

ダウンロード

nextcloud.com/install にアクセスして、「Nextcloud Files」の 「macOS 13+」 ボタンをクリックしてダウンロードします。

nextcloud.com/install のダウンロードページ。macOS 13+ボタンが中央に表示されている

ダウンロードした .pkg ファイルをダブルクリックしてインストールします。

起動の確認

インストール後、アプリケーションフォルダに Nextcloud.app が追加されます。初回はFinderのサイドバーに「Nextcloud」が表示されていれば、すでに起動済みです。

メニューバー右上にNextcloudのアイコン(◎◎◎)が表示されていることを確認してください。

アプリをダブルクリックしても起動しない場合: バックグラウンドですでに起動しています。メニューバー右上のアイコンを探してください。Finderのサイドバーに「Nextcloud」が表示されていれば起動済みです。

アプリケーションフォルダのNextcloud.app。右クリックメニューから「開く」でも起動できる


Nextcloudアカウントにログイン

メニューバーのNextcloudアイコンをクリックして「設定」を開きます。

メニューバーのNextcloudアイコンをクリック → 「設定」を選択

設定画面が開いたら、以下の手順でログインします。

  1. 左メニューにアカウントがない場合は「アカウントを追加」をクリック
  2. アプリ内のログイン画面が開く

Nextcloudクライアントの初回起動画面。「ログイン」ボタンをクリックする

  1. サーバーアドレスに http://100.107.79.30:8080 を入力して「次へ」
  2. ブラウザが開いてNextcloudのログイン画面が表示される
  3. ユーザー名・パスワードを入力してログイン → 「アクセスを許可」をクリック
  4. ブラウザに「アカウントに接続しました。このウィンドウは閉じてしまって構いません。」と表示されたら成功

ブラウザに「アカウントに接続しました」と表示されたらログイン完了

ログインが完了すると、メニューバーのNextcloudアイコンに「すべて同期されました!」と表示されます。

メニューバーのNextcloudポップアップに「すべて同期されました!」と表示


同期先を外付けSSDに設定する

仮想ファイルをOFFにする

設定画面の「sarap422」アカウントタブを開くと、「仮想ファイル」という項目があります。

仮想ファイルはローカルストレージを使わずにファイルを表示する機能ですが、外付けSSDへの実ファイル同期と同時には使えません。 トグルをOFFにしてください。

Nextcloud設定のアカウントタブ。仮想ファイルがONになっている初期状態

同期フォルダーを追加する

仮想ファイルをOFFにすると「クラシック同期」セクションが表示されます。「同期フォルダーを追加」 をクリックします。

①ローカルフォルダの選択

「同期するコンピューターのローカルフォルダーを選択してください」という画面が出ます。「選択...」をクリックして、外付けSSD内に作成した NEXTCLOUD フォルダを指定します。

  • 会社Mac(CT1000P3)の場合:/Volumes/CT1000P3/NEXTCLOUD
  • 自宅Mac(SP PHD A60)の場合:/Volumes/SP PHD A60(NTFS)/NEXTCLOUD

フォルダがまだない場合はFinderで先に作成しておいてください。

会社Mac側:CT1000P3/NEXTCLOUDフォルダを同期先に選択

自宅Mac側:SP PHD A60(NTFS)/NEXTCLOUDフォルダを同期先に選択

②リモートフォルダの選択

「リモートの同期先フォルダーを選択」という画面に進みます。ここで重要な点があります。

ルート(/)ではなく、「NAS」フォルダを選択してください。

ルートを選ぶと、Documents・Photos・TemplatesなどNextcloudのデフォルトフォルダもすべて外付けSSDに同期されてしまいます。今回同期したいのはNASの中身だけなので、NAS フォルダをクリックして選択してから「次へ」を押します。

リモートフォルダ選択画面。「NAS」を選択する(ルートの/ではなくNASフォルダを指定)

③同期開始

設定が完了すると、クラシック同期の一覧に「NAS」が表示され、「ローカルフォルダーにファイルを同期中」と表示されます。

同期開始直後の設定画面。「NAS ローカルフォルダーにファイルを同期中」と表示されている

NASフォルダの容量によっては数時間かかることがあります(特に動画ファイルが多い場合)。そのままMacを起動したままにして待ちましょう。


同期の確認方法

設定画面から確認

「…」ボタンをクリックすると、同期フォルダの詳細オプションが表示されます。「同期を再実行」を押すと手動で同期を強制できます。

「…」ボタンのメニュー。「同期を再実行」で手動同期を強制できる

同期が完了すると、外付けSSDの NEXTCLOUD フォルダの中にNASフォルダと同じ構成のファイルが展開されます。

同期フォルダの展開表示。Adobe AfterEffects、Illustrator、Photoshopなどのフォルダが同期済み

Finderから確認

Finderのサイドバーに「Nextcloud」が表示されており、そこからもファイルにアクセスできます。ファイルに緑のチェックマークが付いていれば同期完了のサインです。


複数Macで同期する場合

会社Mac・自宅Macの両方でNextcloudクライアントを設定することで、NASのファイルが常に両方に同期されます。

  1. それぞれのMacにNextcloud Filesをインストール
  2. Tailscaleで同じアカウントにログイン(外出先・自宅どちらからでも同じIPでアクセス可能)
  3. 各Macに接続した外付けSSDの NEXTCLOUD フォルダを同期先に指定
  4. リモートは同じ NAS フォルダを指定

片方のMacでファイルを更新すると、NAS経由でもう一方のMacにも自動反映されます。


トラブルシューティング

アプリをダブルクリックしても起動しない

インストール直後はFinderのサイドバーに「Nextcloud」が表示されていれば、バックグラウンドでは起動しています。メニューバー右上のアイコンを探してください。

同期が進まない・止まっているように見える

設定画面のNASの行の「…」ボタンをクリックして「同期を再実行」を試してください。また、大容量ファイル(1GB超の動画など)が含まれている場合は数時間かかることがあります。

「仮想ファイルと従来の同期機能は同時に使用できません」と表示される

仮想ファイルがONのままになっています。設定画面の「仮想ファイル」トグルをOFFにしてから、同期フォルダーの追加をやり直してください。


まとめ

項目設定内容
クライアントアプリNextcloud Files(macOS 13+)
サーバーアドレスhttp://100.107.79.30:8080(Tailscale IP)
ローカル同期先外付けSSD内の NEXTCLOUD フォルダ
リモート同期元Nextcloud上の NAS フォルダ
仮想ファイルOFF(クラシック同期を使用)
複数Mac対応◎(各MacにTailscale+Nextcloudクライアントを設定)

Nextcloudを使えば、Google DriveやDropboxのような使い勝手を、自分のNASで多くの再現できます。月額料金もなく、容量もSSDの分だけ自由に使えるのが最大のメリットです。

次のステップとして、Cloudflare Tunnelを使ってTailscaleなしでも外部からアクセスできる構成も予定しています。