クライアントのWordPressサイトを、へテムルからカラフルボックスへ引っ越しました。ドメインの管理(DNS)はクライアントのIT部門が持っていて、こちらでは触れません。それでも、ドメイン移管はせず、新サーバーで先にサイトを完成させ、最後にAレコード2本の変更を依頼するだけで切り替えられます。

この記事では、契約からDNSの切り替え前後の作業までを、実際の画面で順に説明します。


    ドメインは「移管」せず、無料サブドメインで契約する

    最初に迷うのが、購入画面の「3. ドメインの利用」です。「他社ドメインを利用」を選ぶと、次のようにドメイン移管の画面になり、認証コード(Auth Code)の入力を求められます。

    購入画面で「他社ドメインを利用」を選ぶと、ドメイン移管と認証コードの入力欄が出る

    ドメインの管理者がクライアントのままなら、これは使えません。「無料のサブドメインを利用」を選び、example.cfbx.jp の形でメインドメインを作ります。ここで決めた名前は、あとから変更できません。

    「無料のサブドメインを利用」を選び、cfbx.jp の前の名前を入力する

    契約が済んだら、マイページの「詳細を見る」で共有IPアドレスを控えておきます。のちにクライアントへ伝える、Aレコードの新しい値です。cPanelの右側に出る共有IPと同じ値になっているかも、あわせて確認してください。

    契約後の製品詳細。サーバー名の横にIPアドレスが表示される(画像では伏せています)


    本番ドメインはアドオンドメインで追加し、「ドキュメントルートを共有」のチェックを外す

    cPanelの「ドメイン」→「新しいドメインを作成」で、本番ドメイン(example.co.jp)を追加します。ここで気をつけるのは、「ドキュメントルートをメインドメインと共有します」のチェックです。

    オンのままだと、メインドメインと同じフォルダを使い回すことになります。チェックを外すと、ドキュメントルートが public_html/example.co.jp に自動で入り、サブドメイン欄にも example.co.jp.example.cfbx.jp が入ります。

    「ドキュメントルートを共有」のチェックを外すと、public_html 以下に専用フォルダを指定できる

    作成すると、ドメイン一覧に2行が並びます。

    メインドメイン(cfbx.jp)とアドオンドメインの2行。強制HTTPSリダイレクトはアドオン側が「?」

    FTPで見ると、public_html の下に本番ドメイン用のフォルダができています。以降のファイルは、このフォルダに置きます。

    FTPで見た public_html。アドオンドメイン用のフォルダが追加されている

    cPanelには、「ドメイン追加後にDNS ManagerでDNSゾーンの追加が必要です」という案内も出ます。DNSをカラフルボックスで持つ場合の話なので、DNSがクライアント側にある今回は不要です。


    DNS切り替え前は、本番URLではなくカラフルボックス側のURLでWordPressを入れる

    ここで一度つまずきました。本番のURL(https://www.example.co.jp/)にWordPressを入れても、そのURLはまだへテムルを指しています。管理画面を開いても、旧サーバーのサイトに着いてしまい、新しい環境にログインできません。hostsファイルで新サーバーを指す方法も試しましたが、私の環境ではうまくいきませんでした。

    そこで、最初のインストールは取り消し、アドオンドメイン作成時に自動でできたカラフルボックス側のURL(https://www.example.co.jp.example.cfbx.jp/)に入れ直しました。cfbx.jp はカラフルボックスのドメインなので、DNSの切り替えを待たずに名前が引け、AutoSSLの証明書も付きます。

    Installatronのインストール画面。ドメイン欄で cfbx.jp のURLを選ぶ

    インストールしたあとは、アプリ一覧でURLとバージョンを確認できます。


    All-in-One WP Migration で旧サイトを丸ごと入れる

    中身の移行には、All-in-One WP Migration を使いました。

    1. 旧サイト(へテムル側)でエクスポートし、.wpress ファイルとして保存する
    2. 新サイトに同じプラグインを入れ、インポートで .wpress を読み込む
    3. パーマリンクの設定を保存し直す

    インポートすると、データベースの内容が旧サイトのもので丸ごと置き換わります。
    インポート後、表示が崩れていないかを確認します。

    PHPはドメインごとに8.3へ上げる

    メインドメインとアドオンドメインの両方を PHP 8.3(ea-php83)にして、サイトが問題なく動くことを確認します。

    MultiPHPマネージャー。ドメインごとにPHPバージョンを選べる


    切り替えは、Aレコード2本を変更する

    ここまでで、新サーバー側の準備は終わりです。DNSの切り替えは、Aレコード2本を変更します。その前に、現在の設定を控えておきます。コマンドは1つずつ実行してください。

    dig example.co.jp A +short
    dig www.example.co.jp A +short
    dig example.co.jp MX +short
    dig example.co.jp TXT +short
    dig example.co.jp NS +short

    メールの移行について
    MXが旧サーバーを向いていると、メールの移行が別に必要になります。今回はサーバーを替えてもメールには影響しない状況の場合です。

    DNSのAレコードを2件、変更します。

    example.co.jp(@):198.51.100.20 → 203.0.113.10
    www.example.co.jp:198.51.100.20 → 203.0.113.10

    ※TTLは現在の300秒のままで構いません。MX・TXT・NSなど、ほかのレコードは変更しないでください。TTLが300秒なら、反映は5分ほどです。


    DNS反映後の作業:AutoSSL → URL置換 → 強制HTTPS

    変更完了したら、次の順に進めます。

    1. 新しいIPに切り替わったか確認する

    dig www.example.co.jp +short
    dig example.co.jp +short

    どちらも、控えておいた新サーバーのIPが返れば成功です。

    2. AutoSSLで本番ドメインの証明書を発行する

    DNSが旧サーバーを向いているあいだは、AutoSSLの検証が通らずエラーになります。切り替え前にエラーが出るのは想定どおりの動きです。

    AutoSSLの状態。切り替え前は、アドオンドメインで検証エラーが出る

    画面には「レコードの反映が完了後、10〜30分でAutoSSLが稼働します」と案内が出ています。待てなければ、cPanelの「SSL/TLSステータス」から「AutoSSLを実行」を押します。

    .htaccessに「HTTPからHTTPSへ」「wwwなしからwwwありへ」のリダイレクトが入っていると、証明書の検証用ファイルへのアクセスまで転送され、AutoSSLが失敗することがあります。リダイレクトの手前に、検証用のパスを除外する1行を足しておきます。

    RewriteEngine on
    RewriteRule ^[.]well-known/(acme-challenge|cpanel-dcv|pki-validation)/ - [L]

    有料のSSL証明書(アルファSSL)を使う場合の手順は、カラフルボックスのアルファSSL購入・設定ガイドにまとめています。

    3. データベース内のURLを本番ドメインへ置換する

    先にバックアップを取り、インポートで書き換わった cfbx.jp のURLを、全テーブルを対象に置換します。
    管理画面から行うなら、「Better Search Replace」というプラグインで置換できます。

    Better Search Replace を複数ペア一括置換に拡張するパッチを公開しました | CODE PLUS(コードプラス) Better Search Replace を複数ペア一括置換に拡張するパッチを公開しました | CODE PLUS(コードプラス) WordPress の Better Search Replace v1.4.10 に「複数ペア一括置換」と「Import/Export」機能を追加するパッチファイルを GitHub で公開。ドメイン移行・URL 一括変換に役立つ無料ツールです。  続きを読む

    テーマファイルは「Multi Grep Replacer」で置換します。

    複数ルールで一括grep置換ツール「Multi Grep Replacer」 | CODE PLUS(コードプラス) 複数ルールで一括grep置換ツール「Multi Grep Replacer」 | CODE PLUS(コードプラス) CODE PLUS(コードプラス)のお知らせ「複数ルールで一括grep置換ツール「Multi Grep Replacer」」です。  続きを読む

    4. 強制HTTPSをオンにする

    証明書が発行されると、ドメイン一覧の強制HTTPSリダイレクトの「?」が、オンにできるスイッチに変わります。メインドメインのほうは、切り替え前からオンにできます。

    ドメイン一覧。メインドメインの強制HTTPSをオンにした状態

    5. 最後に動作を確認する

    • https://example.co.jp と https://www.example.co.jp の両方が、警告なしで開く
    • HTTP → HTTPS、wwwの有無の統一が、意図したとおりに転送される
    • 問い合わせフォームを送信し、メールが届く
    • 管理画面で投稿を保存できる
    • 外形監視(死活監視)が正常のまま

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