「SEOをやれば、『地域名 + 業種』で上位に表示される」と期待されることがあります。しかし、SEOは 順位を買えるものでも、約束できるものでもありません。

この記事では、企業サイトの担当者や、決裁をする立場の方に向けて、次の3点を整理します。

  • SEOで できること と できないこと
  • Googleが重視する E-E-A-T・エンティティ などの考え方
  • Googleビジネスプロフィール・プレスリリース など、サイトの外でできる施策の効果と限界

サイトマップやタイトルの設定といった技術的な施策は、ここでは扱いません。関連記事を参照してください。

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先に結論:SEOに「魔法」はありません

できること できないこと
検索エンジンがサイトを正しく読み取れる状態に整える 特定のキーワードで「必ず1位」にする
検索する人の疑問に答えるページを増やす 「いつまでに」「何位まで」上げると約束する
会社の実績・運営者情報を、確認できる形で公開する 費用をかけて、検索結果の順位を直接買う
検索結果での現状を測り、変化を確認する 数週間で成果を出す

これはGoogle自身が示している前提でもあります。

  • Googleは、 検索順位の保証は誰にもできない と説明しています。順位を保証するとうたう業者には注意が必要です。
  • 広告を出しても、通常の検索結果(オーガニック検索)の順位は変わりません。
  • 変更が検索結果に反映され、効果が見えるまでには、数か月かかることがあります。

SEOは「順位を操作する作業」ではなく、 「見つけてもらうための土台を整え、中身を育てる作業」 です。


1. Googleが見ているのは「誰のための、どんなページか」

Googleは、検索する人の役に立つ、信頼できる情報を上位に表示することを目指しています。公式ドキュメントでは「 人を第一に考えたコンテンツ (ユーザーの役に立つ、信頼性の高いコンテンツ)」と呼ばれています。

自分のページを確認するときの問いは、次のようなものです。

  • このページは、 想定する読者が知りたいこと に答えているか
  • 読み終わったあと、 読者が目的を達成できる か(問い合わせ、応募、比較検討など)
  • 他のサイトにはない、自社だけの情報 (実績、現場の写真、数字、経験)があるか
  • 読んだ人が「このサイトの情報は信頼できる」と感じるか

避けたほうがよいこと

  • 検索エンジンのために、中身の薄いページを大量に作る
  • 文字数を増やすことだけが目的の記事を書く
  • 内容を変えずに、日付だけ更新する
  • 伝えたいこと(自社の言いたいこと)だけを前面に出し、読者が知りたいことに答えない

「会社として伝えたいこと」と「検索する人が知りたいこと」は、必ずしも一致しません。ここのズレに気づくことが、最初の一歩です。


2. E-E-A-T:信頼されるサイトとは

E-E-A-T は、Googleが品質を考えるときの視点です。次の4つの頭文字です。

要素 意味 企業サイトでの例
Experience(経験) 実際に体験・実施した人が書いているか 施工事例、現場の写真、担当者の声
Expertise(専門性) その分野の知識・技能があるか 資格、保有する許認可、技術の解説
Authoritativeness(権威性) その分野で、他者から認められているか 受賞、取引実績、業界団体への加盟、外部メディアでの紹介
Trustworthiness(信頼性) 正確で、誰が運営しているか確かめられるか 会社概要、所在地、連絡先、プライバシーポリシー

押さえておきたい3点

  1. 4つの中で最も重要なのは「信頼性」 です。他の3つは、信頼性を支える要素として位置づけられています。
  2. E-E-A-Tは、「これだけ満たせば順位が上がる」という単独の数値ではありません。 品質を評価する際の考え方であり、「E-E-A-Tを上げる設定」が存在するわけではありません。
  3. 医療・金融・法律など、人の生活に大きな影響を与える分野(YMYL) では、特に厳しく見られます。

「誰が・どのように・なぜ」を明らかにする

Googleは、コンテンツの信頼性を確かめる視点として、次の3つを挙げています。

視点 企業サイトでの対応
誰が (Who) 会社名、運営者、執筆・監修者、連絡先を明記する
どのように (How) どのように作った情報か(実績、調査、現場での経験)を示す
なぜ (Why) 読者の役に立つために作られていること(売り込みだけが目的ではない)

注意:実在しない著者や、偽の実績は逆効果

専門家らしく見せるために、架空の著者名や、根拠のない実績を載せるのは避けてください。信頼性を損ないます。 実際にあることを、確認できる形で見せる のが基本です。


3. エンティティ:検索エンジンが「会社」をどう理解するか

エンティティとは

エンティティ は、「人・会社・場所・もの」といった、実在する対象のことです。検索エンジンは、文字列(キーワード)だけでなく、 「この名前は、どの会社を指しているのか」 を理解しようとしています。

Googleは、世の中の事物とその関係をまとめた ナレッジグラフ を持っており、検索結果の右側などに出る ナレッジパネル (会社の概要を示す枠)にも使われています。Googleによると、ナレッジグラフの情報は、 公開されている多数のウェブ上の情報源 から集められています。

企業としてできること

  • 社名、所在地、電話番号、事業内容などの 基本情報を、あらゆる場所で統一する (自社サイト、Googleビジネスプロフィール、SNS、取引先や団体のサイトなど)
  • 自社サイトに、会社概要・沿革・事業内容・代表者などを わかりやすく掲載する
  • Googleビジネスプロフィールを登録し、最新に保つ(次章)
  • 業界団体や取引先、自治体、地域メディアなど、 信頼できる外部サイトに、正しい情報が載る ようにする

できる説明と、言いすぎになる説明

言える 言えない
情報が統一されていると、検索エンジンが会社を正しく理解しやすくなる 「エンティティ対策をすれば順位が上がる」
ナレッジパネルは、公開情報をもとに自動で作られる 「お金を払えば、ナレッジパネルを出せる」

エンティティ関連の記事には、推測が混ざった説明も多くあります。Googleの公式な説明で確認できるのは、「 会社を正しく理解してもらうための基盤になる 」という範囲です。「言及を増やせば順位が上がる」と断定する説明は、うのみにしないでください。


4. Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)

どんなものか

Googleビジネスプロフィールは、Google検索やGoogleマップに、 会社や店舗の情報を表示するための無料ツール です。名称が変わっていますが、以前の「Googleマイビジネス」と同じ仕組みです。

対象になるのは

顧客と直接会う事業者が対象です。 店舗がなくても、顧客先を訪問してサービスを提供する事業 (サービス提供地域型)は登録できます。その場合、住所を非公開にして、対応エリアを設定できます。

ビルメンテナンスのような法人向けの訪問型の事業が、実際に対象になるかは、 事業の実態に合わせてGoogleのガイドラインで確認 してください。

守るべきルール

項目 ルール
名称 看板・名刺・サイトなど、実際に使っている名称にする。キーワードの追加はしない
住所 実際の住所。私書箱や、実体のない住所は不可
カテゴリ 事業を最もよく表す主カテゴリを選ぶ
説明文 事業内容を説明する。 リンクを入れない 、誇張した表現を避ける
登録数 1つの事業所に対して、プロフィールは1つ
公式サイト 自社サイトのURLを登録する

名称にキーワードを入れたり、実在しない拠点を登録したりすると、 停止されることがあります。

登録の流れ

  1. Googleアカウントで、ビジネスプロフィールを作成する
  2. 事業者名、カテゴリ、住所(または対応エリア)、電話番号、サイトURLを入力する
  3. オーナー確認(郵送、電話、動画など。事業によって方法が異なります)
  4. 営業時間、事業内容、写真などを追加する
  5. 情報が変わったら更新し、投稿や写真も追加する

期待できること・できないこと

  • 期待できる:社名やサービス名で検索した人に、 正しい会社情報 (地図、電話、サイト)を表示できる。 「地域名 + 業種」のような検索で、地図付きの結果に表示される 可能性がある
  • できない:「地域名 + 業種」で 上位に出ることの保証 。地図検索での表示は、関連性・距離・知名度などで決まります
  • 注意:登録内容は、検索結果に表示される会社情報の元になります。 情報を正確に保つ ことが基本です

5. プレスリリースと外部からの言及

できること

プレスリリースは、新サービスや受賞、新拠点などを メディアや取引先に知らせる ための手段です。

  • 会社の動きが、 第三者の目に触れる
  • ニュースサイトなどに掲載されれば、 社名が外部のサイトに載る (認知、信頼の補強)
  • 自社サイトの発表ページに、 公式の情報 を残せる

「リンクを増やす道具」ではない

プレスリリースを配信して、 SEOのためにリンクを増やそう とするのはお勧めしません。

  • Googleは、 順位を操作する目的のリンク をスパムとして扱っています。
  • 過去には、 キーワードを詰め込んだリンク付きの、大量配信のプレスリリース が、不自然なリンクの例として挙げられています。
  • 配信サービスを使っても、リンクが順位の向上に結びつくとは限りません。

リンクが自然に増えるのは、 「紹介したい」と思われる情報があるとき です。

良い使い方

向いている内容 ポイント
新サービス、新拠点、受賞、資格・認証の取得 事実にもとづき、具体的に書く
採用に関する新しい取り組み 求職者にも伝わる言葉で書く
地域活動、社会貢献 地域メディアなどに取り上げられる機会になる

そのほかの外部からの評価

  • 業界団体・組合・商工会議所 などの会員一覧
  • 取引先・協力会社 のサイトでの紹介
  • 自治体・地域の事業者団体 の掲載
  • 地域メディア での紹介

数を集めるのではなく、 実在する関係から、自然に生まれる掲載 を大切にします。


6. SNSは、順位を上げる手段ではない

Googleの担当者は、 SNSの「いいね」やフォロワー数が、検索順位に直接影響するものではない と繰り返し説明しています。

ただし、SNSには、別の役割があります。

役割 内容
認知 会社を知ってもらうきっかけになる
採用・取引の接点 求職者や取引先が、会社の雰囲気を確かめる
公式情報源 会社の正しい情報が、外部にもあることを示す

「SEOのため」ではなく、 「会社を知ってもらうため」 に運用するのが現実的です。


7. AI検索でも、基本は同じ

Googleは、AIによる回答機能(AI Overviews、AI Modeなど)に表示されるために、 特別な対策は必要ない と説明しています。基本は、従来のSEOと同じです。

  • 検索エンジンが、 ページを見つけて、読み取れる
  • 人の役に立つ、信頼できる内容 である
  • 会社や運営者について、 確認できる情報 がある

「AI向けの特別なファイル」や「AIに読ませるための文章の分割」などを、 有料で提案されることがありますが、Googleの公式ガイドでは必要ないとされています。 「AEO」「GEO」といった新しい呼び名がついていても、中身は上記の基本の延長です。


8. 現実的な進め方

ゴールは「順位」ではなく「行動」

キーワードで上位に表示されること自体が、目的ではありません。 その結果、誰にどう行動してもらいたいか を決めるのが先です。

たとえば、同じキーワードでも、検索する人によって、調べたい内容が違います。

  • 発注を検討している企業 → 実績、対応エリア、料金の考え方、問い合わせ方法
  • 求職者 → 仕事内容、給与・福利厚生、1日の流れ、社員の声、応募方法

読者が違えば、検索する言葉も、読みたいページも違います。 狙う読者を絞る ことで、必要な施策が見えてきます。

まず、現状を測る

Google Search Consoleで、次を確認します。

  • どんな検索語で表示・クリックされているか
  • 検索語のうち、 社名を含むもの と 含まないもの の割合
  • 表示されているのに、クリックされていないページはどれか

社名での検索が大半の場合、 すでに会社を知っている人が来ている 状態です。社名を含まない検索で見つけてもらうには、 そのための中身(ページ) が必要になります。

小さく始める

段階 内容 目安
① 基本整備 検索エンジンへの登録、基本設定、会社情報・実績の掲載、ビジネスプロフィールの登録 比較的すぐ
② コンテンツ 読者の疑問に答えるページの追加(事例、よくある質問、採用情報の充実など) 継続的に
③ 外部からの評価 実績にもとづく、業界団体・取引先・地域メディアでの紹介、必要に応じたプレスリリース 状況に応じて
④ 測定・改善 数か月単位で、検索状況と問い合わせ・応募の変化を確認 定期的に

広告との使い分け

オーガニック検索(SEO)は、効果が出るまで時間がかかり、 確実性もありません。 一方、リスティング広告は、費用をかければ表示できますが、 止めると表示も止まります。

SEO 広告
費用 掲載は無料
(制作・運用には人手がかかる)
表示・クリックに費用がかかる
効果が出るまで 数か月〜 比較的すぐ
継続性 積み上がる 止めると終わる
向いている場面 長期的な土台づくり 期間を決めた募集・キャンペーン

まとめ

  • SEOに魔法はありません。 順位を約束することも、買うこともできません。
  • Googleが見ているのは、 検索する人の役に立つ、信頼できるサイトか です。
  • E-E-A-T は「これを設定すれば順位が上がる」ものではなく、 信頼されるサイトを作るときの視点 です。
  • エンティティ は、会社を正しく理解してもらうための基盤です。 情報の統一 と 公式情報の公開 が基本です。
  • Googleビジネスプロフィール は、会社の正しい情報を示すための無料の手段です。ただし、 上位表示の保証はありません。
  • プレスリリースやSNS は、リンクを増やす道具ではなく、 知ってもらうための手段 です。
  • 最初に決めるのは、 順位ではなく、誰にどう行動してほしいか です。

期待値を正しくそろえたうえで、小さく始めて、数か月単位で確認していくのが現実的です。


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参考資料